ペドロ・シモセが、1971年にボリビアの軍事政権との軋轢からスペインへ亡命し、その後は今日に至るまで、ずっと首都マドリードに家族とともに暮らしていることは、「カントゥータ」No.1で述べたとおりですが、1996年にボリビアのサンタクルスで発行された詩集「リベラルタとその他の詩」(Riberalta y otros poemas)には、異境(30年以上も住み、夫人や子供たちにとっては故郷であるスペインも、この詩人にとっては異境なのではないかと、2000年10月に来日した際の彼の話振り等から感じられました)にあって、生まれ故郷リベラルタを想うこの詩人の深い心情が、抑制の効いた言葉で表現されています。
この詩集は、故郷リベラルタを題材にした18遍の詩からなっていますが、今回はその中から「墓地にて」という詩を紹介します。この詩には、正に異郷であるリベラルタの地に骨を埋めた詩人の父下瀬甚吉氏をはじめとする日本人移住者たちへの深い哀悼の念が謳われており、詩人自身もまた「いつの日か私もあなたたちのようになる」と異境に埋葬される予感が表現されています。